埼玉県の中世城郭 



 

鴻巣市 

 ◆①記号SKは、現地調査の生DATA=スケッチを示す
 ◆②『 』内の城は、調査したが、遺構が見あたらない城を示す。
 この場合、縄張り図の代わりに、地籍図や写真等を掲載している。
 (注)遺構が無いからと言って、そこが城として否定しているわけでない。
 ◆③図は断りのない場合、上面が北を示す。
  パソコンの特性上、縄張りをすべて画面上に掲載できていない場合がある。



箕田城sk


箕田城sk
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  垂涎(すいぜん)のクランク 2019/12/15
 

                    

 【解説】

 息子の免許の更新のために、鴻巣の免許センターに行った。
 その帰りしな寄ったのがこの城である。

 
 
 市が民間から買い上げ、今は綺麗な自然公園になっている。
 遊具もなにもない公園だ。
 緑豊かなその公園は、夏はセミの声が鳴り響き、子供達が虫取りアミを持って駆け巡る姿が想像できる。
 思い切り走り回れるように、土塁や堀に登り降りの規制もない。
 最近、”保存だ!有効活用だ!”と言って、やたら 『危ない、危険』 とフェンスを張ったり、
 立ち入り禁止になったり・・・・・。
 逆に、たくさん来てもらえるように、遊具やアスレチックを備える 『城のアミューズメント化』 も進んでいる。

 






 
 
 しかし、箕田城は違う。

 何もないのである。
 管理人はこのような ”自然な公園” の姿が一番好きである。
 










                           
 


 この日も、一組の親子が公園の中を散策していた。
 彼らの遊びは、『落ち葉集め』
 たくさん集まる落ち葉に、子供は大はしゃぎ。
 それを見て思わず微笑んでしまう。
 




  


もちろん森を守るために、木の伐採や、雑草取りなどはしなくてはならないと思うが、
これが理想の保存方法だと管理人は思う。

前置きが長くなったが、このような公園であるため、すこぶる見学しやすい。



                         


 この城の特徴は、何と言っても横矢掛けだろう。
  特に北東面の塁線は凸形状をしており、 “これぞ横矢!!” という景観である。






  



南東側のクランクも見事に残っている。






 


北面には大きな櫓台が設置されていて、この塁線も凸形状となっていたと思われる。
 








 
 中田正光著の”埼玉の古城址”では、矢倉台の横
に木橋があったと想定している。
 矢倉台から横矢が掛かるため、中田氏の意見に反対は無いのだが、
 怪しいのが
Aから南北に延びる塁線がなんとなく怪しい。
 なぜかと言うと、残存状況の良い当城で、この塁線が異常に甘いのである。
 塁線はで再び周囲の高さに戻るが、そこがさらに怪しさを物語っている。
 何が言いたいかというと、この南北の切岸は”近代に土取りが行われた跡”
 に見える事である。

 

 東、北、南の塁線が土塁や堀を伴ったものであるのに対し、A-B間はとても貧粗である。

 高さも1m前後で直線とはいえずうねっている。

 よってA―B間は近代の改変であり、
 さらに言うと近代に
一帯が破壊されている可能性が指摘できる。
 よって、から橋が架かっていたという所も可能性のみで、断言は控えた方が良さそうだ。

 









 


写真は木橋が想定されている場所。
いまは、宅地だ。






 



東辺の現況。








 

 
 

  

 ここまで見て思いを巡らせた結果、管理人の考えは2つとなった。

 ★否定的な考え

 この地は民間の所有地を市が買い上げ、現在の公園にした。

 今、公園の西、荒川方向は全面の耕作地である。

 当地がかつて民間地だったことを踏まえるとこの C は畑などの土取りにえぐられた可能性がある。

 A-Bの切岸がウネウネしているのは、そのためとも思えるのである。。。。

 
 ★肯定的な考え

 もう一つの可能性が、城のすぐ西が荒川の河川敷だったと思える事だ。

 つまりは、船着き場だったのではないか?という可能性。

 水があるため、西に大きな堀は要らない。

 また、船を上げやすくするために、塁線を低くしたとも考えられる。
 となると、
は往時のままであり、船を着けるために塁線が甘くなった、とも考えられる。

 いずれにしろ想像は膨らむばかりで、決定打が無い。

 ただ、箕田の城山は塁線を大きくクランクさせる優れた遺構を残している事は、間違いない




                                         (完了)
 【既存縄張り図の評価】 まあ、みんなソコソコです。


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